1kW局免許取得までの顛末記−3

1kW局免許申請に関する情報は複数のOMさんたちのHPで紹介されています(たとえば(JA2GZZJA3OOK).これらをみて難しく感じたことは“電波防御指針に基づく電界強度”の計算です.JK1IQK氏の作成による計算ソフトがありますが,入力項目の意味が今一つわからない.特に俯角,俯角減衰量は何を言ってるのだろうか(アンテナが人より上にあるのに俯角とは?・・後で氷解したのですが,これはアンテナからみた俯角で被害を受ける人間から見た仰角のことでした).そんなことで,一年ぐらいかけてゆっくり入力項目を一つずつ理解してから書類を作成しようと考えていました.

2015年6月のはじめの頃だったと思いますが,午前11時ごろSEJさんから電話があり,氏はCDPさんのところで7Mフルサイズの3エレメントのYagiアンテナの建設の手伝いに来ているとのことでした.“7Mのフルサイズとするとエレメントは片側で10m・・”これは凄いものになりそうなので見学にCDPさんの山荘へ,お昼前についたのですが専門業者のFTI社の人たちが工事をしていたので工事自体は終わりかけていました.CDPさんの無線仲間も数人手伝いに来ていました.7Mフルサイズ3-エレのアンテナはJA2QXYさんの設計のものでした.そのアンテナはこれです.

お昼ごろ建設は終了し,CDPさんと手伝いの無線仲間たちおよび小生は近くの蕎麦屋で昼食を取ることになりました.その席で小生の1kW局申請の予定を話しました.QXYさんとは初めてのアイボールでしたが,氏が話に乗り現場を見たいといって小生の山荘に来られました.QXYさんは数十局の変更申請の手伝いをされていたらしく,その申請書類は,常にお供しているノートPCにストックされていました.その中から“このパターンだな”といってすでにあるデータの一つを取り出し当局用に修正を始めました.アンテナの位置,種類,近隣住宅などを確認メモされて帰られました.

QXYさんが(川崎市の自宅へ)帰られて間もなく,変更申請提出の書類の原型がEメール添付で送られていました.申請内容は3.5M〜50M(10MHzを除く)オールバンドでオールモード1kWという,最大級の申請書類でした.そのモードというのは,CW,AM,SSB,FMに加えてRTTY,PSK,アナログTV,デジタルTV,JT4,FSK441,JT65,JT6M,WSR,GMSK,MFSK,OLIVIA,,Feld HELL,JT9,パケット通信・・これはこれはタマゲタ(びっくりするという意味(東北方言))・・.QXYさん曰く,“面白いから全部申請しましょう”.小生も,将来何を使うかわかりませんのでとれるものなら取っておきましょうという軽い気持ちで了承しました(これらのモードに関しては特に実地検査はなかったのでこの決定は正解でした).アンテナの位置情報,近隣住宅位置情報に修正を加え,またVERSA Beamアンテナ情報はQXYさんが工人舎から入手して申請書類は完成しました.50MHzは特別な理由がない限り500Wが限度ですので,適当な理由を付けて“1kW申請理由書”を付け加えました(“適当”は“いいかげん”ではなくproperの意です).
変更申請書は2015年6月4日に郵送で,信越総合通信局へ送りました.送った書類は次のようなものです.

 @マチュア局変更申請書, A運用に関する覚書(トランシーバは1.9Mと10M帯の送信機能が含まれていますので,それらを1kWのエクサイターには使わないという確約書),B50MHz帯空中線出力1kW申請理由書,C無線局事項書及び工事設計書,D付属装置諸元12,E送信機系統図,F俯角計算図Gアンテナ位置と近隣住宅位置関係図,H電波防護指針に基づく電界強度計算表.Iアンテナの指向特性図,J設置場所周辺図  (省略,これらの図が傾いているのもありますが乞ご容赦)

投函後しばらく立つ6月16日の夕方,野沢温泉宿にいたとき,信越総合通信局の担当者から携帯に電話があり,ダイポール(ダブルバズーカ)アンテナのエレメントの末端の地上高の確認があり,“8m”と答えました.その後3日ほどして,“無線局指定変更・変更許可通知書”と関連書類が送られてきました.当方が提出した書類に関しては疑問点は何もなかったようでQXYさんの手腕がうかがわれます.さあ,これからが大変.設計書通りに送信機系統を作成しなければ・・.Continued to 4.