キツネとサンダル

対岳荘には700坪弱の庭ががある.都会に住む人には広いと思われるかもしれないが,当地は原野で資産価値はほとんどない.当初は赤松,カラマツ,白樺が密生し,地面は隈笹で覆われていた.年月をかけて隈笹を刈り,ほとんどの松の木を伐採した結果,白樺の木々がまばらにいい形に残った.やっと庭らしくなってきた.(下の写真は,対岳荘の庭,中央の黒い建物は東屋.)

もう一つ不思議なことがあった.数年前のある日の夕方,庭の東屋でバーベキューをしていた時だった.隣の家でも酒宴をやっていて,その客の一人が当方の宴会に入り込んできた.やっこさん,相当酔っていたらしく,50メートルほどのブッシュを歩く間に片方のサンダルを落としてしまった.
翌朝,きた道筋をくまなく探したのだが,どうしても見つからない.“わずかな距離なのに・・・”と不思議な思いがずうっと残っていた.

対岳荘の廻りには結構いろいろな動物がいる.畑を荒らすにっくき鹿ども,ちょっとさびしさを漂わせる狸,さっそうと闊歩するキツネ,盗人のようにおどおどしているアナグマなどなど.散歩をしているとそれら動物と遭遇する.この間,長年の疑問を解決する現場を見たのだ.それはキツネが片方のサンダルを咥えていたのだ.そうか,犯人はキツネだった.そういえば,道端にもよくサンダルしかも片方を見ることがあったが,キツネの仕業だったのか.
ところで,キツネが人を化かすとき頭に草鞋(わらじ)を載せるとか・・・こんな話を昔聞いたことがある.昔からキツネは人の履物を好むらしい.(128m)

見通しの良くなった庭をながめ,不思議なことに気が付いた.片方だけのサンダルが落ちているのだ.自分も家族もなくした記憶はないし,そもそもそのサンダル自体初めて見るものだ.一度だけではない.その都度目新しいものが落ちている.