MFJ1026ノイズキャンセラーの使用感 7MHz編−2

ノイズキャンセリングの効果を確かめてみましょう.メインアンテナは13mHのダブルバズーカで東西方向に張ってあります.
ノイズを拾うためのアンテナは4本用意しました.@AORの広帯域受信アンテナSA7000(垂直アンテナで帯域は30K〜2GHz) 10mH,A14mロングワイアアンテナ3mH(引き込みは3D2Vで,アンテナエレメントとケーブルの接続のところのシールド線を接地),B7mロングワイア3mH(構造は14mのものと同じ),C3.5mロングワイアアンテナ.ロングワイアアンテナはメインアンテナと同じ方向に張りました.
受信機はFTDX5000MPLで,それにDMU2000を接続しバンドスコープとして用いました.


例1. 測定日時:2017.05.07 9:30頃 天候晴れ キャンセリング周波数:7.160MHz Sメータのメモリ1の変動を6dBの変化としました.
アンテナ     ノイズ減少   ノイズ増強    信号強度変化(信号強度S=9としたときの変化)
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@AOR      0dB       18dB      0dB
A14m      6dB        6dB      0dB
B7m       9dB        6dB      0dB
C3.5m      33dB       0dB       -5dB
ノイズの増強は,メインアンテナと補助アンテナのノイズの位相が合ったため起こります.ここではその最大値を記録しました.
信号強度がマイナスは,補助アンテナのノイズにメインアンテナのそれを合わせた場合起こります.

最も効果の大きかったCのケースについてキャンセリングのON-OFFでの聞いた感じがこれです.キャンセリングONでのノイズ減少効果はそれほどでもありませんが,バンドスコープでみるとノイズは大きく減少します.これは,信号レベルが下がると自動的に受信感度が上がるAGCが働くためと思われます.次にQSOでの効果がこれです.信号はQSOが可能ぎりぎりのものを用いました.信号強度はS=9で5dBぐらい減少しますが,ノイズが少ないためQSOの音声はかえって大きく聞こえます.


例2. 測定日時:2017.05.08 7:400頃 天候晴れ キャンセリング周波数:7.133MHz
アンテナ     ノイズ減少   ノイズ増強    信号強度変化
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@AOR      18dB       0dB        0dB
A14m      12dB       5dB        0dB
B7m       39dB       0dB      -3dB
C3.5m      51dB       0dB      -16dB

最も効果の大きかったCのケースについてキャンセリングのON-OFFで効果を確かめます.これはノイズキャンセラーのON-OFFの違いです.こちらは,ノイズキャンセラーのDNRを加えた場合です.DNRのレベルは10/15です.ノイズ減衰処理を施さない場合はほぼQSO限界の信号ですが,最後の例ではノイズはほとんどなく,左うちわで交信できます.

例3. 測定日時:2017.05.10 8:400頃 天候:雨れ キャンセリング周波数:7.163MHz
アンテナ     ノイズ減少   ノイズ増強    信号強度変化
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@AOR      3dB       7dB         0dB
A14m      12dB      9dB         0dB
B7m       12dB      0dB         0dB
C3.5m       30dB       0dB       -12dB

Cのケースは,ノイズキャンセリングの効果は大きいですが,補助アンテナのレベルにメインアンテナのノイズレベルを合わせたため,肝心の信号強度が大きく減少しました.しかし,実際に聞いてみるとノイズキャンセラーを用いたほうはがはるかに聞きやすくなります.

まとめ
・ノイズを拾うアンテナは短い方がかえって有効である.ただし,短すぎるとノイズを拾えなくなるのである程度の長さは必要.
.ノイズキャンセリングの周波数はバンド内の1ヶ所でよく,効果はバンド全体に及ぶ.
.ノイズの状態は天候,時刻その他の要因で簡単に変化するので,その都度設定する必要がある.
.近接のノイズには効果が顕著であるが,遠距離ノイズのキャンセリングはむつかしい.
.DNRなど,DSP処理を加えるとQSO環境が格段に上がる..
.受信機のAGCが働くため,聴感上の変化が少なくなるが,Sメータあるいはバンドスコープではノイズキャンセリングの効果がはっきり確認できる.