アマチュア無線資格試験奮闘記(2)・・60年後

T大学の大学院修士課程を修了して東京のある薬科大学に勤めたのを皮切りに,大学を転々として40数年.最後の大学の定年は70才である.定年の3年ほど前から定年後のことを考え始めた.それまでの仕事(研究)を細々と続ける人もおられるが,あまり恰好がよくない.この際潔くそれまでの仕事とはまったく違ったことをするのが気持ちいい.そこで思い浮かんだのがアマチュア無線である.奥が深いから結構楽しめそうである.どうせ試験をとるなら,1級資格である.試験は,学科試験(電気物理,電気回路,無線工学),電波法規,それにモールス符号の実技試験である.受験しよう.

もっともハードルが高いのはモールス符号である.課題は60年前と比べるとだいぶ軽減されていて,欧文文字(アルファベット)を2030文字を聞き取れれば合格らしい.Aは・−,Bは−・・・,Cは−・−・などなどである.簡便な覚え方は言葉の語呂に合わせる,たとえば・−はアレー(亜鈴),−・・・はボータオシ(棒倒し)という風に・・である.ただし,このようにして覚えると早い通信では追い付かなくなると聞いていたのでこの方式はとらず直接覚えることにした.一応全部覚えて聞き取りをやってみた.まったく聞き取れない.かなり努力してみたがやっぱり無理.ということで受験はあきらめざるを得なかった.

今年(2013年)の初めころ,インターネットを見ていたら,昨年の12月の試験からモールス符号の実地試験が省略されたことを知った.それなら受験しようということで,4月の試験の願書提出には間に合わなかったので8月の国家試験を目指して勉強を始めた.電波法規は苦手であったが過去問をみると繰り返されて出題されているので,過去問を暗唱する方法をとった.電気物理,電気回路,無線工学等は比較的慣れていたので負担は感じなかったがそれなりに勉強した.

820日東京晴海の無線協会というところで受験した.午前中9時半から12時まで国内,国際の電波法規およびモールス符号のペーパーテストで,午後1時から3時半まで学科試験だ.その時は久しぶりに頭を目いっぱい使ったという思いがした.頭がさえてしまって夜は眠れなかった.

翌々日無線協会のHPに正解が出た.合格点は7割,法規,学科試験とも9割近くはとれていたので大丈夫.試験答案はマークカードの数を塗りつぶす方式なので,位置を間違いなく塗りつぶしたかはちょっと心配.91日に無線協会のHPに合格者発表がでた.自分の受験番号が合格者の中にあった!やれやれ.